2018年7月12日にバンコク行われたブルームバーグ主催の「ASEAN Business Summit」でのスピーチで、タイの中央銀行の総裁であるウィーラタイ・サンティプラポップ(Veerathai Santiprabhob)氏が、タイ中央銀行の業務にブロックチェーンをざまざまな形で取り入れることを検討していると明らかにしました。
総裁は、国際送金、サプライチェーンファイナンス業務、文書の認証作業へのブロックチェーン導入を特に検討していると述べ、特に国際送金についてはブロックチェーンを導入することで東南アジア地域での金融面での関連性を高め、よりスムーズな国際金融サービスが促進されるだろうと語った。
さらに、生体認証やブロックチェーンといった最新のテクノロジーを取り入れることで、金融情報を保護し、詐欺行為の規模や数を減少させることができるだろうと語った。
また、現在タイ中央銀行で進められている時代に合わなくなった規則や規制を見直す計画が業務をより分かりやすく簡単にし、我々による規制が競争力の向上とイノベーションを促進するであろうとも述べた。
タイにおける仮想通貨の規制に関する動き
3月下旬、財務大臣により仮想通貨に関する新しい課税の枠組みが明らかにされた。
タイ財務省が仮想通貨課税(デジタル資産規制)に関する枠組みの最終版を発表
5月中旬、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)に関する新しい規制を発表。
タイで仮想通貨規制の国王令が施行され、今後は本格的に投資や決済に使用される模様
タイにおける仮想通貨やブロックチェーンの国家事業に関する動き
5月中旬、タイ中央銀行のレギュラトリーサンドボックス事業であるブロックチェーンを用いた国際送金の実証実験が成功したと発表。
三菱商事とMUFGがタイ・アユタヤ銀行のブロックチェーンを使った国際送金の決済テストに成功
6月上旬、タイの中央銀行総裁が銀行送金の円滑化のため中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)の導入を検討していると発表。
タイ中央銀行総裁が独自のデジタル通貨発行(CBDC)を検討していると発表

世界的には金融の安定面から仮想通貨やブロックチェーン技術の導入に関して否定的な意見を持つ政府や中央銀行が多いですが、タイでは政府も中央銀行も民間も意見が揃っていて、実際に数多くのプロジェクトが始まっています。
仮想通貨取引やICOの健全化のために必要な規制を導入したり、国家と民間銀行によるブロックチェーンの導入に関しての積極的な動きは世界でもトップレベルではないでしょうか。
最近のタイでは急速にキャッシュレス化が進んでいるのですが、これもほとんどが民間銀行と民間会社によるブロックチェーン決済で、実地レベルでのブロックチェーン使用率も世界有数だと思います。
既に世界中の企業がタイでの実験を目当てに進出してきているため、タイ経済は上向きになり始めています。
仮想通貨市場は落ち着くどころか下降気味ではありますが、タイでの市場は一波乱あるかもしれません。