2018年6月5日、シンガポールで開かれた「Nomura Investment Forum Asia 2018(野村インベストメントフォーラムアジア、NIFA)」において、タイの中央銀行であるタイ銀行(Bank of Thailand)が独自の仮想通貨の発行を検討していることが明らかになりました。
NIFAの講演の中で、タイ銀行のウィーラタイ・サンティプラポップ(Veerathai Santiprabhob)総裁が中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)を使って「新しい銀行間取引のあり方」を構築する計画を話したことにより分かりました。
元々タイでは「Project Inthanon」と呼ばれるタイ独自のデジタル通貨発行プロジェクトがあり、CBDCはその中に含まれる計画の一つのようです。
サンティプラポップ総裁は「他の国の中央銀行と同じようなCBDCの採用が最優先課題というわけではないが、金融の安定を守る規制官として技術的な可能性については研究している」と言及し、「現状のシステムと比べて仲介プロセスが減ることにより決済にかかる時間とコストが削減され、事務処理的な業務においても効率化されることを期待している」と述べた。
最近の中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)についての動き
ノルウェーの中央銀行であるノルウェー銀行(Norges Bank)は、貨幣自体と通貨制度への信頼を確実なものにする手段として独自のデジタル通貨の開発を検討していると発表。
スウェーデンの中央銀行であるスウェーデン国立銀行(リクスバンク、Sveriges Riksbank)は、現金の流通量の減少を受けてeクローナの発行を検討していると発表。
ロシアはプーチン大統領がライブQ&A番組において「仮想通貨は国境を越えるものなので、定義的ではあるがロシアも他のどの国も独自の仮想通貨を持つことはできない」と否定的な発言。
中央銀行が仮想通貨を発行することで金融の安定を図る狙いと、ブロックチェーン技術によって送金時間やコスト削減できる狙いがメインですが、他にも税金の回収やお金の流れを把握する効果も期待できるからでしょう。
タイは国家による仮想通貨のプロジェクトが多く進んでいて、私が住むバンコクではタイ国民が(それが仮想通貨やブロックチェーン技術と知っているかは別問題として)キャッシュレスで買い物する風景をよく見かけるようになりました。
今後のタイ銀行の動きは、他の国から注目が集まることは間違いないでしょう。